雑誌「チルチンびと」別冊36号掲載 千葉県 ㈱千葉工務店
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86LDK、特にキッチンまわりを楽しい空間にすること。家族はもちろん、友だちもよく集まるので、カウンターバーのような雰囲気を求めた。次に、マッサージが仕事の奥さまは、日常の場とは別に専用の施術室をリクエストした。二人の子どもが小さいうちは休業状態だが、いずれ自宅で開業をと計画していたからだ。 現在のライフスタイルに合わせるとともに、将来の構想も盛り込み、どう形にするか。何度か図面を手直しして、ついにゴーサインが出た。木の香りとやわらかさが気持ちを和らげてくれる 「初めてうかがった際、敷地の北側に空間がすっぽり抜け、遊歩道沿いに木が伸びているのが見えました。そこは今後も家が建たないとのことで、LDKからいつも眺望を楽しめるようにと考えた結果、南北に開口部をとることに」 関さんがこう述懐する。冒頭で触れた、おおらかで開放感あふれるこの家の印象は、立地条件を100%生かすための工夫から生まれたといえよう。 設計面の苦心といえば、皆の集うキッチンが筆頭に挙がる。アイランドタイプの周囲を回れるつくりにと言われたが、プラン上、ここに十分な空間をとりづらい。関さんは頭をひねり、デッキをLDKに取り込んではと提案。キッチン側にも出入り口を設け、デッキを通ってくる階段室。プライベートな場に向かうお客さまの気分を考えて光を集め、洞窟をイメージしたと関さん。右/ダイニングの壁は厚みを生かして小さなニッチを。季節で小物を入れ替えたり、楽しい生活のアクセントだ。中/右写真の壁の裏側が階段。ちらりと見える手すりはアイアン作家・松岡信夫さんの作。白い壁によく似合う。左/主寝室は落ち着いた雰囲気に。衣類は手前のウォークインクロゼットに収納し、家具はいっさい置かない。

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