住宅雑誌『チルチンびと』96号 -復活する「梁」-
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右ページ・上/清々しい印象の神保邸。のどかな住宅地を抜けると、緩やかな傾斜の緑道が整備されている。 下/東側から庭を見る。 中央/デッキと一体のダイニング。外の景色は、緑でおおわれた初夏から冬の裸木、春の桜色と表情を変えていく。込んだのは、埼玉県中部のニュータウン。自然豊かな丘陵地だった。「初めて妻とこの場所に来たとき、緑溢れる景観を一目で気に入ってしまったんです」とご主人。 はじめは更地を探していたが思うような土地が見つからず、それならば将来的には建て替えをと、中古の戸建てを購入。住宅地ではあるが谷間の雑木林と隣り合わせの土地を選んだ。 やがて長女が生まれ、4年が経っても、夫妻は建て替えを依頼する建築家を探していた。注文住宅の相談所などを介し、6人の建築家と実際に会って話をしたが、二人の意見が合わず、依頼には至らなかった。 「僕は和風の家を、妻はソファがあるホテルのような洋風の家を求めていました。二人がともに気に入る家をつくる、というのが課題でした」(ご主人)。7人目に会った建築家が泉幸甫さんだ。住宅雑誌で泉さんが手がけた家を見て「純粋に、きれいだなと思いました。ピカピカとしたきれいさではない、じわっとくる、やわらかな美しさ」と、ご主人は印象を話す。泉さんと話をした後、夫妻は依頼したいと意見が一致した。19

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