田中敏溥大全 -人と仕事- 建築家座談会「我ら新潟人~新潟のいい家を考える~」
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12——田中事務所出身の皆さんは、奇しくもそろって新潟出身と聞きました。田中:そうそう。みんな新潟。事務所に入って来たときにわかったことなんですけどね。でも、新潟とひとくちに言っても、北から西へずーっと長い県で、地域によって全然違うんですよ。北のほうは朝日連峰、飯豊連峰といった山々が連なる。私が生まれ育った村上は、新潟でも北のほうで、かんたんに言えば、海岸があって、山があるという感じですね。新潟市のように平野が広がっているというわけではない。水澤:僕は県南部の南魚沼郡六日町(現在は南魚沼市)出身です。山に囲まれた盆地で、夜になると外は真っ暗になる。東京に出てきた当初、山がなくてまちがどこまでも明るく広がっているのがすごく違和感がありました。生活圏の中心は長岡市。スポーツの大会があったり、映画を見に行くときには長岡に行くので、新潟市にはほとんど出たことなかったなあ。古泉さんは新潟市ですよね。古泉:はい。僕が生まれたのは今は新潟市江南区と呼ばれていますが、平成の合併前は亀田町という町でした。海抜が低く、湿地帯だったところを土地を改良してつくった水田だらけの土地です。現在の亀田は新潟市のベッドタウン。郊外に大型店があって、そのまわりに新興住宅地が広がっています。田中:県の真ん中、弥彦山に登ると、亀田や新潟市一帯の越後平野がどこまでも広がっているのが見渡せます。田植えが終わった6月くらいに行くと一面緑で、秋になると黄金色に。これが県外の方のイメージする新潟らしい景色でしょうね。——やっぱり新潟といえば米、そしてお酒ですよね。古泉:東京に出てきて僕がとにかく驚いたのは米の味。実家で食べていた米が普通だと思っていたので、なんか違うなまずいなと……(笑)。水澤:おそらく他県の人が新潟といって最初にイメージするのは、お米やお酒が美味しいということじゃないでしょうか。田中:米と水がいいから酒がうまい!古泉:僕も日本酒、大好きですね。水澤:僕もいろんなお酒を飲んで落ち着いた先が日本酒(笑)。田中:雪国だから、人が集まる左から田中敏溥さん、水澤悟さん、古泉丞さん。田中さんの事務所にて。世代は違うが、郷里での思い出話に花が咲いた。我ら新潟人建築家座談会〜新潟のいい家を考える〜建築家・田中敏溥さん(村上市出身)と、田中さんの設計事務所から独立した水澤悟さん(南魚沼市出身)と古泉丞さん(新潟市出身)。3人の建築家に地元の思い出を交えつつ、新潟に合った家づくりについて、風土性や文化性を踏まえ、語り合っていただきました。出席者・田中敏溥 水澤 悟 古泉 丞

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