雑誌「チルチンびと」81号掲載 京都大原の山里に暮らし始めて 梶山正
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13いさんたちに鍛えられて、今は二段の腕前になっているそうだ。 バッキーのお父さんは造園家だが、この家の先代老父も庭師さんであった。それで、この家に残されていた物の中には、庭道具や庭石などバッキーにとって使える物もあった。庭のあちこちには、庭石が転がっていた。家が住めるようになるとバッキーは、それらの石を使って庭のまわりを囲み、飛び石や石段をつくった。庭木が多すぎたので少し減らして、ハーブや草花を植えた。「ハーブや草花を植えたのは、ベニシアさんからの影響です」とバッキー。ベニシアは嬉しそうな顔だ。 椿野家が伊香立で暮らし始めて9年目になる。今年、バッキーは家を譲って欲しいと持ち主に頼んだ。 「ほんとは、この家を見つけたときから買いたいと思っていたんですが……。でも、持ち主に遠慮していました」とバッキー。僕とベニシアは驚いて顔を見合わせた。この家は2月から椿野家のものになったそうだ。知らなかった。 「今は離れにトイレと風呂があるから、家の中に移したいって女房は言ってます。冬、外に出るのは寒いしね。でも、僕はゆっくりやればいいかなあ〜と思ってますけど……」。 そうは言いながら、バッキーの顔を見ると、たくさんのアイディアが膨らんでいる様子。土間にあるキッチンを部屋の中に移すことも計画中とか。ここに来た最初の冬は、土間に雪が舞う日もあったそうだ。 同じ家に暮らし続けていても、借家状態のままでいるのと、自分の持ち家になるのとでは気持ちが違ってくる。家を守る使命感や、より暮らしやすい家に変えたい意気込みが変わるのだ。 「それと、蔵はこれまで触ってはいけないと言われていたんですが、もう自由に開けていいと持ち主は言ってくれました。でも、蔵の鍵がないので、まだ見れずにいます……」とバッキー。大昔の宝物とか大判小判などが、入っていないだろうか? 僕も蔵の中を覗いてみたいものだ。 「お昼ご飯ができましたよ〜」と可奈さんが呼ぶ声。今日は椿野家ご自慢の蒸し鍋だそうだ。お腹がグーと鳴ってきた。2階は大広間。壁をつくって自分の部屋が欲しいとお子さんたちの声。バッキーは、やるべき仕事が山積み状態だ。和の庭・シュウメイギク・ギボウシ・ミヤコワスレ・ユキノシタ・ミズヒキ・イソギク・ノカンゾウなど森の庭・クリスマスローズ・ヤブラン・タツナミソウ・マムシグサ・シュウカイドウ・イカリソウ・ヤマアジサイなど・アヤメ・シバザクラ・ワスレナグサ・シュウメイギクなどくつろぎスペース・BBQ・お茶など花畑・ワスレナグサ・シラン・エキナセア・ローズマリー・ラベンダー・ヒリップ・リュウキンカ・タイムなどハーブの庭・アップルセージ・ベルガモット・メドセージ・コーンフラワー・ルドベキア・ボリジ・オレガノなどオダマキ・ブルーバローシランとネメシア白いシランタツナミソウデルフィニウム庭椿ブログ http://d.hatena.ne.jp/tsubakino/床の間畳居間蔵物置土間浴室物置物置洗濯場トイレ押入縁側芝生キッチン居間ついに今年、この家を購入

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