雑誌「チルチンびと」75号掲載 京都大原の山里に暮らし始めて 梶山正
4/4

上/大蛇に変わったおつうの尻尾が埋められたとされる花尻の森。ここは山 椿の名所。 右下/江文神社から流れる宮川沿いの西之村霊神之碑。ここに胴 体が埋められたという。 左下/頭が埋められた草尾(くさお)の乙ヶ森。 上左から /江文神社へ初詣。大きな杉 の木のある階段を上って拝殿の向こうに ある本殿をめざす。 /新年の無事と平 安を祈願する。 /拝殿に並ぶ米寿祝い の桝かき。 下/元々、江文神社は江文 山(現在の金毘羅山)頂上近くの朝日が最 初に当たるところにあったそうだ。焚き 火に手をかざすベニシアと浄。 右ペー ジ/床の間と仏壇が並んだ我が家の客間。 着いたのは夜8時頃だっ たが、町は静まりかえり、 空き家が多いせいか家の 灯りも少なかった。  翌日は両親の傘寿祝い をした。久しぶりに家族 が顔を合わせることがで きて、両親は喜んでいた。 高齢になる両親のことは 長男の僕が中心に、きょ うだい皆で考えていかな ければ……。次は米寿祝 いができるよう両親の元 気を祈りつつ、帰路へつ いた。  大原も僕の両親が住む町のように 高齢者が多いが、人と町の活気はず っとあると思った。散歩の途中で立 ち話するおじいちゃんやおばあちゃ んの姿などよく見かける。町内の池 田おばあちゃんは、毎日のように大 原の老人ホームに通っている。彼女 はそこの利用者ではなく仕事をしに 通っているのだ。とても 90 歳を過ぎ ているとは思えない。また、大原に 戻ってくる若い夫婦も少なくないよ うだ。最近、道端で元気に遊ぶ子ど もたちのにぎやかな声が増えている。

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る