雑誌「チルチンびと」69号掲載「京都大原の山里に暮らし始めて」

危ないものはいらない。 安全で安心できるものだけが欲しい。

我が家から 80 キロ北に福井県若狭 湾の原子力発電所群がある。ここは、 日本で最もたくさんの原子力発電所 があるので、通称、原発銀座と呼ば れている。ここも地震で揺れるかも しれない。福島第一原発事故以来、 僕は落ち着かないのだ。 今年の3月 11 日、マグニチュード 9の巨大地震が東北地方三陸沖で発 生。それにより福島第一原発事故が 起き、大量の放射能(*)が放出した。 その日、地震が起きたことも知ら ずに、僕はふだんと変わらぬ時を過 ごしていた。関西では、あまり揺れ なかったのだ。夕方3時半頃、イギ リスに住む息子の主 しゅう 慈じ から、とつぜ ん電話がかかって来た。 「タダシ、大丈夫? 日本で大地震 が起きたんやろ?」 「そうなん? 知らんかった」と僕。 「いまイギリスのテレビで日本の地 震のことをやっていて、それで、ヤ バイと思って電話したんよ」 早速テレビをつけてみると、どの チャンネルも震災の状況を実況中継 していた。 原発事故から数日後、ベニシアの 友人親子が放射能を恐れて、東京か らベニシアの英会話学校に避難しに やって来た。僕は「福島から避難な らわかるけど、東京から避難しに来 るとは……」と驚いてしまった。ま た、イギリスに住むベニシアの親 類からは、「日本にいても大丈夫な の?」と、心配そうに電話がかかっ て来る。外国の人びとも、地震と原 発事故を気にかけてくれている。

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