雑誌「チルチンびと」 パッシブでアクティブな暮らし
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無尽蔵の太陽エネルギーによって暖めた空 気を利用する空気集熱型パッシブソーラーの 草分けが、このOMソーラー。  冬季は、屋根の集熱面で温めた外気を、ハ ンドリングボックス内のファンによってダク トを通じて床下に送り、基礎上部の蓄熱コン クリートに蓄熱させた後、床に設けた吹き出 し口から微風として室内に送り込む。夕方以 降は蓄熱層にたまった熱が放熱して室内を ゆっくり温める。  その効果は天候や地域によって左右される が、補助的に暖房を使ったとしても、年間で30 ~60%の暖房負荷を低減させることができる。  夏季は、昼間は屋根の集熱面で温めた空気 によって「お湯採りコイル」内の不凍液を温 め、その不凍液を貯湯槽に循環させることで お湯をつくる。日照条件が良ければ、ハンド リングボックス1台で 50 ℃のお湯を約300 ~500リットル(1日あたり)採ることも 可能。温めた空気はハンドリングボックスの 切り替えによって床下に送り込まれることな く屋外へ排気される。  夜間は放射冷却によって屋根全体が冷える ことを利用し、取り入れた空気を冷却してか らハンドリングボックスによって床下に送り 込み、吹き出し口を通じて室内に送り込む。 エアコンほどの効果は期待できないが、冷房 負荷を低減させながら、快適に過ごすことが できる。  実際にどの程度の省エネになるのか。東京 の4人家族で延床面積120平方メートルの 住宅を想定し、次世代省エネルギー基準(日 本において国が基準とする断熱・気密性能) をクリアした住宅と、OMソーラーを設置し た木造住宅のエネルギー消費量をシミュレー ションしたところ、OMソーラーを設置した 木造住宅は消費熱エネルギーが 41 %少なく、 また二酸化炭素の発生量も 33 %少ないことが わかった。  従来のOMソーラーは発電システムではな いため、ハンドリングボックスを稼動させる ための電力を外部に頼らざるを得なかった。 しかし専用の太陽光発電パネルとの併用によ り、自立運転によってハンドリングボックス を稼動させることが可能になった。  現在、改修工事で既存住宅にOMソーラー のシステムを取り付けることも研究中。 冬は暖めた空気を室内に送り込む。 夏の昼間は暖めた空気を利用してお湯をつくる。 夏の夜間は冷やした空気を室内に送り込む。 OMソーラーの省エネ効果を測定したシミュレーション [冬の働き] [夏の昼間の働き] [夏の夜間の働き] 太陽熱で空気を温める ●OMソーラー http://omsolar.jp

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