雑誌「チルチンびと」 緑の置屋根の下省エネルギーで豊かに暮らす
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安田邸室内。8角形の部屋の中
心には束になった柱。安田さん
が住み始めてから、断熱材を入
れ、本棚なども造り付けた。
冬はマイナス
20
℃にもなるという
嬬恋村。そう聞くと、年間をここで
暮らすのは過酷だと想像しがちだが、
けっしてそうではない。室内に2台
ある薪ストーブが家中を暖めてくれ
る。そこで湯を沸かし、天板でパン
を焼く。ストーブを囲んで家族で食
事をする。「冬の夜、真白な雪を見
ながらストーブで燗した酒を飲む。
これがいいんだな」と安田さんは微
笑む。また、寒さに備える湯たんぽ
や、豆炭を使った炬燵など、懐かし
い暮らしの道具がここでは現役であ
る。冬場は配管の凍結防止にヒー
ターを使うが、その時期以外はほと
んど電気を使わないため、電気料金
は月2500円ほどだそうだ。
豊かさって何?
「暮らしの伝統」を顧みる
安田さんは、自然の力をうまく取
り入れて快適な室内環境をつくる
パッシブ住宅を数多く手がけてきた。
なおかつ、特に寒冷地で力を発揮す
るFF 式石油暖房機を使った床下
放熱暖房システムを導入し、太陽光、
雨水利用などライフライン自給のた
めの工夫を積極的に取り入れ、環境
と共生し、物の豊かさより心の豊か
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