住宅雑誌「チルチンびと」86号掲載 設計 田中敏溥
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 千葉県郊外の住宅地、樹々に囲まれたデッキから青空に笑い声が抜けていく。薪ストーブで焼き上がったばかりのピザが食卓に上がると、ビールで乾杯。空の下のテラスとダイニングを使って、賑やかな昼の宴の始まりだ。 「山小屋で、酒を呑みながら仲間と火を囲んでいると、場の空気が変わるんです。暖かい、というだけではなく、それを超えた“何か”が、火にはある」。そんな山でのひとときを自宅でも……と、谷さんは新居を建てる際、迷わず薪ストーブを入れた。  住宅地でありながら、山荘のような家に住みたい。そして大らかで、決して目立たず、されど品格のある住まいがいい|夫妻の願いそのままに、切妻屋根を載せた杉板張りの2階建ての家屋は、びっしりと薪が詰まった自作の薪棚と雑木林のような庭とあいまって、のびやかな佇まいを見せている。 設計を手がけたのは、建築家の田中敏溥さん。「夫妻よく笑い、怒り、食べ、寝て、ともに年を重ねる、そんな家クッキングストーブはHWAM(ワム)のClassic4。空気量を自動調整するので、扱いが楽だとか。料理好き・もてなし好きの夫妻。遊びにきた瀧島さん夫妻も山仲間。キッチンは二人並んで作業ができるようにシンクとコンロが並列している。今日のピザはジェノベーゼと味噌の2種。

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