住宅雑誌「チルチンびと」71号掲載 設計 大野 正博
9/10
家族の暮らしを大切にしつつも、はっとするような厳かな美しさをもつ山
口邸。極限まで無駄を省き、楽しい仕掛けも盛り込む大野流のアイデアを
見てみよう。 イラスト/サカマキヒロカズ(DUAL PLANNING)
美しさと合理性を
追求する
【 解題 】大野正博のデザイン
もともとのご主人の生家は、茶の
間が北側、客間が南のいわゆる「昔
の家」。家族の居場所は、日中から
電気をつけなければならないほど暗
く、ご主人は「家のおいしいところ
を家族が使えないなんて」と思って
いた。
新しい家は、中庭を囲む二世帯住
宅。どの部屋にも明るい日光が届き、
庭の眺めが楽しめる。庭に面したメ
インの開口部が嵌め殺し窓になって
いるのは、普通に暮らしていて完全
に開け放つことは少ないし、外が見
えていればつながっているように感
じるという大野さんの考えから。天
井を張らないこと(
元のページ
../index.html#9