住宅雑誌「チルチンびと」78号掲載 設計◆松本直子
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んは振り返る。アプローチの小さな庭を外からも内からも楽しめる工夫。2階リビングに空を呼び込むバルコニー。また、視線に抜けと変化をもたらすスキップフロア。各所に設けた天窓の光は、部屋を明るくするだけではなく、光と影がつくり出す〝アート〞を日常にもたらしている。 そして薪ストーブ。「火って、緑や光と同じものだと思います。豊かに暮らすために必要なもの。それがある場所が家族の場所になる。だからくつろぐ場所であるリビングに置きました」と松本さん。居住空間を広くするため、階段の側板とストーブの炉壁を組み合わせる工夫で省スペース。階段室の吹き抜けのおかげで、暖気は2階だけでなくロフト部分も満たす。そのため、一家は夏は涼しい1階で、冬は暖かいロフトで就寝するそうだ。「薪ストーブがあることで、そんなふうに暮らしに変化が生まれますよね。料理もできるし。そういうことが家の記憶としてお子さんにも残ってくれるとうれしいですね」と松本さんは話す。 住み始めて2年目。今年も薪ストーブの季節が待ち遠しいとご夫婦。すでに薪の準備は抜かりなく。バルコニーいっぱいの薪が、この冬も一家にぬくもりをもたらしてくれる。上/ダイニングスペースからキッチンを見る。松本さん設計のオリジナルのキッチンは、戸棚や天板の高さなどがちょうどよくて使いやすいと奥さん。リビングより床が一段高くなっていて、居心地に変化があって楽しい。 下右2点/薪ストーブに五徳を入れればピザも焼ける。強い火力で焼くので、生地はパリッと、具材はジューシーに。煙の香ばしさも食欲をそそる。 下左/色鮮やかなサラダとともに、イタリアンランチ。54

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