住宅雑誌「チルチンびと」74号掲載 設計 加藤 武志
6/8

広さ以上に伸びやかに感じる空間 を実現した。「住宅密集地でも日 当たりが確保できるのはもちろん、 2階だと天井に勾配をつけ、小屋 裏も空間に取り込むことで、より 大きな部屋がつくれます」と加藤 さんは言う。  そして、薪ストーブの位置にも 加藤さんの狙いが。室内からの視 線を遮らないよう、炉壁は設けず、 皆が囲めるよう窓側の中央に。 「本来ならテレビを置く場所に薪 ストーブを設置しました。テレビ もいいですが、火を見るのはもっ と楽しいですよ」と加藤さん。ふ だんからあまりテレビは見ないそ うだが、「ストーブがついている 時は、テレビは絶対に消します。 静かにぱちぱちと薪のはぜる音が 聞きたくて」と夫妻。  新居にはよく親族も遊びにやっ てくる。「薪ストーブをつけてい ると、男たちはいつのまにかその 前に車座になってるんです。それ でウイスキーを飲み始めたりして。 私の父なんてふだんは酒を飲まな いんですけど。やはり、みんなで 囲める場所に置いて正解でした」 とご主人は笑う。  大切な人たちと過ごす、豊かな 時間。そのひと時に、ゆらめく炎 が寄り添っている。 右上から時計回りに /ストーブとデッキで住宅街の真ん中とは思えない雰囲気。子どもたちもキャンプのように楽しんでいる。 /親戚家族が集まって、子どもた ちは賑やかに、大人たちはしっとりと。楽しいひと時に火がやさしく寄り添う。 2点/ご主人がつくったカスレがメイン料理。サフランライスは土鍋で炊く。

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る