住宅雑誌「チルチンびと」65号掲載 設計 泉 幸甫
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 映像ディレクターの八代健司さんと漆芸家の八代淳子さん、ともにものづくりを仕事にする夫婦が、住み慣れた関東近郊の住宅街から離れることを具体的に考え始めたのは、5年ほど前。たまたま訪れた自然豊かなこの土地に出会い、「ここに住みたい」と感じて迷わず購入を決めた。それから、建築雑誌を読み漁ってたどり着いたのが、泉幸甫さんのつくる家だった。淳子さん曰く「日本の風土に根ざしていて、良質の木材が使われている。大好きな伊勢神宮のような清々しさを感じました」  1階は、大きな障子がちょうどスクリーンのように庭の木立の影を映して、幻想的で開放感のある空間。この広い空間を生かすため細かく部屋をつくらず、高さ1メートル程度の間仕切りと膝高の本棚、天井を部分的に低くすることでLDKと健司さんの趣味室の、四つの生活空間を分けた。ダイニングの窓からは裏山が見える。春から夏にかけて、美しい緑の景観が広がるのもご馳走の一つ。2階の同じ位置には寝室がある。この家でいちばん景色のいいところにくつろぎの位置を配置した。  庭に面した南側の壁全体に広がる

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